おうちSEM SQUARESでは、おうちSEM(=SEMの拡充三つ組モデル)をベースにしたイベントを定期的に行っています。
今回は、「宿泊イベント」としては初の試みであるサマーキャンプを開催しました。
場所は鳥取県八頭郡智頭町。野生の菌でパンを作るパン屋さん「タルマーリー」との共同企画です。
題して、
「~麴の降るまち~ 智頭の森の恵み、発酵と地域内循環を学ぶSEMツアー!サマーキャンプ」
こちらはタルマーリーの女将である渡邉麻里子さんが名づけてくださいました。その名の通り、自然豊かな智頭で、パン作りを通してタルマーリーの職人さんやスタッフさんから発酵と地域内循環を学ぶ「本物の学び」体験です。
事前ワークショップ: 本物体験の始まり
おうちSEM SQUARESのサマーキャンプは「事前ワークショップ@Zoom」から始まります。
現地でさまざまな本物体験をする前に、SEMのETM/拡充三つ組モデルのタイプ1拡充とはどういう学びなのか、そして実際の体験がどのように「次」につながるのかを共有しました。
そうすることで、現地でタイプ1を意識しながら「本物」に向き合えるからです。
また、今回は現地入りする前に、タルマーリーの渡邉イタルさん・麻里子さんから酵母や発酵、地域内循環について教えていただきました。
タルマーリー直伝のレーズン酵母作りにも、それぞれおうちで挑戦しました。成功したかどうか、智頭での第1日目に披露できるといいねと話して、一旦解散です。
第1日目: 本物が待つ現地へ
いよいよ現地入りです。
参加者もスタッフも全国各地から智頭に集合。
自己紹介では、事前ワークショップ後に各自おうちで挑戦したレーズン酵母の出来具合もシェア。
うまくできた人、できなかった人…。なにが出来具合を分けたのか、みなで考えたりもしました。
そのあとはピザ生地作りに挑戦です。
レクチャーしてくださるのはパン職人の晋太郎さんとたっちゃん。
職人さんが用意してくださったレーズン酵母や湯種に小麦粉を入れ、子どもも大人も真剣にこねます。
手にベトベトくっつく生地に戸惑ったり、こね具合を丁寧に確かめたり、自分の生地ができた後は他の参加者の生地の具合にアドバイスを送ったり。
活動をとおして、自然なつながりが生まれていました。
一晩寝かせるパン生地は、うまく膨らむかな?どうかな?
ちょっとドキドキしながら、晋太郎さんに託します。
そして夕方は、街歩きやお風呂など、それぞれ自由時間を楽しみました。
夜はみんなで美味しいお弁当を食べ、おしゃべりや、自由参加のクイズや謎解きに挑戦したり、大人はタルマーリーのビールを飲み比べたりしました。
ほかにも、都会では見られない圧倒的な星空を見に出かけたり、宿に戻ってゆっくり翌日に備えたり。
OSSのキャンプですから、それぞれ無理のない(個別最適な!)過ごし方を選びます。
第2日目: ひたすら本物を体験
中日は、丸1日使ってひたすら本物体験です。
まずは一両編成のディーゼル機車に乗り込みます。
途中の無人駅にも興味津々。
撮影 酒井由紀子
撮影 酒井由紀子
タルマーリー那岐工房に到着。こちらの那岐工房で、全国にも発送されている野生の菌のパンが焼かれ、クラフトビールが作られています。
配送スタッフの興梠さんが軽妙なトークと共に、元は保育園だった那岐工房がイタルさんや晋太郎さんの手でどう生まれ変わったのかなど説明してくださいました。
パン工房、ビール工房を見学、本格的な機械に酵母菌採取の方法やパン作り、職人さんやスタッフさんの生の声やライフストーリーなど、本物が盛り沢山でした。
撮影 酒井由紀子
撮影 知久景虎
撮影 知久麻衣
撮影 知久景虎
お昼には焼きたてのパンを自分たちでカットしてスープを味わい、午後はタルマーリーが契約している農家さんの畑でみずみずしい野菜を収穫です。
とっても暑かったのですが、採れたてのトマトをほおばり、笑顔が弾けていました。
撮影 知久景虎
撮影 知久景虎
撮影 酒井由紀子
ピザ作りは再び智頭店で。
前日に仕込み那岐工房で発酵したピザ生地と収穫したての野菜でピザ作りです。
ランチのスープも作ってくださった料理担当のにこちゃん、たつきさんによるお手本作りを見ながら、子どもも大人もプロに負けない気迫で作りました。
ナス、トマト、玉ねぎをカットし、ピザ生地も”プロのような”手つきで伸ばしました。みんな上手!
撮影 知久景虎
撮影 知久景虎
「うまい!」「美味しい!」
ピザ窯で次々と焼きあがるピザにかぶりつくみなさんからの歓声が、タルマーリー智頭店に響き渡ります。
満面の笑みとはこのことです。
野菜嫌いの子も、この日は野菜をパクパク。
自然栽培の野菜だから?
自分で収穫したから?
タルマーリーでピザにしたから?
仲間と一緒に食べたから?
どれもこれも、いろーんな要素がつまって、本当に、このうえなく美味しかったですよね!
今までで食べた中で一番美味しいピザ!という声もありました。
第3日目: 余韻を感じながら帰路に
現地での最終日は、タルマーリー智頭店に集まり、おうちSEM SQUARESの思考スキルアクティビティを、大人も子どもも楽しみました。
ここからも垣間見れる、みなさんの個性。どんな発想が得意で、どんなことが好きなのかが分かります。
記念撮影では、もうすっかり仲良くなり安心感と満足感にあふれたみなさんの表情が。
めいっぱい体験した智頭での「本物」の余韻に浸りながら、タルマーリーの麻里子さんや参加者同士で、この3日間での子どもの変化、そして自分自身の気づきについて語り合う様子もありました。
このあと長い帰路についたり、山陰地方を旅行したりと、予定はそれぞれでしたが、それも全部含めてのサマーキャンプであることを改めて確認し、事後ワークショップで会う約束をしてサヨナラしました。
とても色彩の濃い、「生」を感じた3日間でした。
撮影 酒井由紀子
撮影 知久景虎
事後ワークショップ: 体験を「次」へ
「事後ワークショップ@Zoom」は、智頭から戻って比較的すぐに行いました。体験したことを各々の頭の中や心の中で整理する時間は必要ながらも、時間を空け過ぎてしまうと「新鮮さ」が薄れてしまうからです。
SEMでは、リフレクションという振り返りの機会、体験をフォローアップして「次」に繋げる一手間がとても重要だと考えられています。
この一手間で、さまざま体験したり体感したりしたモノを、単なる楽しい思い出としてふわっと残すのではなく、次の学びや挑戦へとつなげるのです。
本物を体験する機会自体は、得ようと思えば、いつでも誰でも得ることができます。
ですが、体験したモノを「次」につなげ得るSEMのリフレクションは、SEMならではだと思います。
今回の事後ワークショップでも、参加者のみなさんと素晴らしいリフレクションの時間を持つことができました。
最年少の参加者さんからは「なぜ人が集まると楽しいんだろう?」という深掘りしたら面白そうな問いが生まれました。
タルマーリーの麻里子さんには貴重で心に染み入るお話もしていただきました。
SEMサマーキャンプ@タルマーリーはOSSのサマーキャンプとして初めての試みでしたが、参加者と主催者みんなで作り上げる最高のサマーキャンプとなりました。
心よりの感謝
今回のSEMサマーキャンプ@タルマーリーは、本物の体験の数々を智頭町にて総プロデュースしてくださったタルマーリーの渡邉麻里子さん、イタルさん無しでは実現しませんでした。
宿泊先として使わせていただいた「やどり木の家」にも大変助けられました。
イタルさんの体調不良が重なり、麻里子さんは心身かなりのご負担でしたでしょう。
本当にありがとうございました。
現地では、タルマーリーのパン職人&スタッフのみなさんや、農家の竹下さんの専門的かつあたたかなご協力のおかげで、私たち全員が圧倒的な「本物」を体験することができました。感謝でいっぱいです。
宿泊先の「楽之(たのし)」「明日の家」「林新館」、そして智頭町観光協会のみなさま、あたたかなおもてなしをありがとうございました。
どの方も、子どもたち、そして保護者の方に、「できることがあればなんでも!」という心を向けてくださったおかげで、みんなが安心して心地よく過ごすことができました。
そして、今回タルマーリーと私たちおうちSEM SQUARESをつなげてくださった「才能はみだしっ子の育て方」の著者の酒井由紀子さん、大変心強い「サポーター」として企画段階から最後の最後まで共に駆け抜けてくださり、本当にありがとうございました。
酒井さんも、noteにレビューを書いてくださっています。
最後に、私たちと一緒にSEMサマーキャンプ@タルマーリーを作り上げてくださった参加者のみなさん。
ご参加いただいたことに心から感謝しています。ありがとうございました。
参加者のみなさんの声
最後に、参加のみなさんからいただいたお声をご紹介します。
娘が天然酵母のパン作りに目覚め、自分で探究しようとしています。私の目論見は大成功でした。
それ以上に、私本人の好奇心スイッチが入ってしまい、毎日天然酵母を起こし、元種を培養し、パンやマフィンを作り始めました。なかなかうまいパンができないのがまたいい。ライフワークになりそうです。
プログラムの内容は改善点もあると思いますが、本物に触れたことに価値があったと思います。イタルさんにも是非お会いしたいので、フォローアップ企画、期待しています。
まりこさんはじめ、みなさんの飾り気のない温かいもてなしが特に良かった。タルマーリーさんとご縁ができたのがうれしい。
最後に、娘曰く、パパとまた旅行に行きたいと、思いがけず、親子の絆も深まる副次的効果もありました。
念願のタルマーリーに行くことができ、スタッフの皆様に様々なことを教えていただき、ピザを作ることができたのは、とても貴重な体験でした。
参加している皆様と川遊びや様々な体験ができて、とても楽しかったです。
普通の枠に収まらないタイプのお子さんが多く、その子どもさん同士の係わりがとても良かったなと思っています。
学校では少数派なのでなかなか共感を得られないものですが、今回のキャンプでは認めてもらえる体験がありました。
また、自分では日頃我慢してしまうところでも軽やかに主張をしてみせるお子さんを見て、衝撃を受けている様子がありました。
どうしても家庭内の限られた関係で過ごしがちな不登校の子にとって、大変貴重な機会となりました。
また親としても、おなじような苦労をなさっている親御さんのお話を伺い、同志を得たような気持ちになりました。
改めて、子どもがありのままの自分を誇れるよう育てていきたいと思いました。
夏の暑さでたいへんとのご意見もありましたが、余裕のあるスケジューリングと先生方の自由にどうぞという声かけで、自由度もあるし、無理をしないでよい雰囲気にきもちよく参加することができました。
事前の案内もとても丁寧で、細かいところにも対応してくださることで安心して向かうことができました。
活動内容も、アクティビティもこどもにとってはじめてでも楽しんで参加できるものでしたし、本物の方々からたくさんの貴重なお話をうかがうことができて 親子ともに、なかなかない機会をいただいたと思っています。
お宿の紹介・予約もたいへん心強かったです。タルマーリさんとのコラボが企画実行できたのもSEMだからこそと思っています。